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スポットワーク~派遣と併用の注意点~

2025/12/09 コラム

近年、労働市場においてスポットワークが注目されています。

スポットワークは、急な人手不足や繁忙期に即座に人材を確保できるメリットがあり、働く側にとっては空き時間を有効活用できるというメリットがありますが、その活用には注意しなければならないこともあります。

スポットワークとは?

スポットワークは、労働者派遣と混同されがちですが、大きな違いは「誰と雇用契約を結ぶか」ということです。

労働者派遣は、派遣会社が労働者と雇用契約を締結し、雇用に関する責任を負います。
一方、スポットワークは、利用する企業が労働者を直接雇用し、労働・社会保険諸法令のすべての責任を利用する企業が負います。

スポットワークの場合、アプリを利用してマッチングが行われ、給与の支払いもアプリ運営会社が立替払いを行うことから、雇用契約を締結したという感覚が希薄になりがちです。しかし、厚生労働省は雇用契約の成立に関して次のように見解を示しています。

“面接等を経ることなく先着順で就労が決定する求人では、別途特段の合意がなければ、 事業主が掲載した求人にスポットワーカーが応募した時点で労使双方の合意があったもの として労働契約が成立するものと一般的には考えられます。”

これにより、マッチング成立後のキャンセルは、利用企業に休業手当の支払い義務が生じることになります。

派遣とスポットワーク併用の注意点

派遣先で就業中の派遣社員が、空き時間を利用してスポットワークで働くことがあります。

このような場合、派遣先は注意しなければならないことがあります。

企業が派遣労働者を受け入れることができないケースの一つに、離職した労働者についての労働者派遣受け入れ禁止があります。
派遣先で直接雇用され、退職して1年を経過しない労働者を同じ派遣先が派遣労働者として受け入れてはならないという制度です。
これは、直接雇用していたすべての労働者が対象になることから、スポットワーカーも対象になり、派遣就業することができなくなることがあります。

【具体例】

・派遣先Aで派遣就業中の派遣労働者Xが、派遣先Aが募集するスポットワーク求人に応募してマッチングする。

・派遣先AはXを直接雇用する。

・その労働契約が終了すると「退職」する。

・退職から1年間は、Xを派遣労働者として受けれることができなくなる。

派遣会社では派遣社員の選定にあたり前職の確認などを行い、受け入れ禁止に該当しないよう努めております。
ただし、就業中の派遣社員の副業状況までは把握が難しいことがございます。

派遣先企業様におかれましても、募集時に派遣就業中の方が応募できないようにするなどの対策をご検討ください。



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<執筆者>

社会保険労務士法人ユアサイド
社会保険労務士 中宮伸二郎先生

2000年社会保険労務士試験合格。
2007年社会保険労務士法人ユアサイド設立。
2007年より派遣元責任者講習講師を担当し、労働者派遣や有料職業紹介などの人材サービスに詳しい。

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