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最低賃金アップにどう対応する?助成金活用のポイント|中宮先生によるお役立ちコラム【2025年9月号】

2025/09/09 コラム

令和7年度の最低賃金引き上げ目安が中央最低賃金審議会より発表され、全国的に大幅な賃上げが求められる状況となっています。
現行最低賃金への加算額は都道府県を3つのランクに分けて示されており、A63円、B63円、C64円となっています。

これまでと異なり、Cランクの上げ幅を大きくして地域間格差の縮小を目標としていることが今年の特徴です。

最低賃金は、都道府県ごとの地方最低賃金審議会で、ランクごとの引き上げ額を基準として、最終決定されます。
大阪府はAランクに区分され、現行の1,114円に63円加算され、1,177円程度となる見込みです。

企業が取るべき対応策

最低賃金の急激な引き上げに対応するため、国は企業向けの支援制度を設けています。
支給を受けるためには、賃金の引き上げに加え、設備投資や教育訓練を実施することが条件です。
業務改善助成金が利用されることが多いですが、キャリアアップ助成金の賃金規定等改定コースも最低賃金引き上げに伴う昇給を対象としています。

業務改善助成金の活用

業務改善助成金は、事業所の最も低い賃金と最低賃金の差額が30円以内であって、これを30円以上引き上げた場合に支給される助成金です。
単に賃金を引き上げるだけではなく、生産性向上のための設備投資または、コンサルティング、人材育成を行う必要があります。

助成金は、設備投資等の費用の4分の3、上限は600万円となっています。今年度は、物価高騰等要件に該当している場合、生産性向上のための設備投資として認められる範囲が拡大されます。

物価高騰等要件とは、原材料費の高騰などにより利益率が前年同期比3%ポイント以上低下している場合該当するものです。

キャリアアップ助成金の活用

また、キャリアアップ助成金賃金規定等改定コースを利用して、有期雇用労働者の賃金制度を整備し賃金を3%以上引き上げた場合、賃上げ率に応じて、対象労働者一人当たり3.3万円から6.5万円の助成金が支給されます。

助成金利用の注意事項

業務改善助成金、キャリアアップ助成金どちらも、賃金引き上げを実施する前に計画書を都道府県労働局に提出し、計画書が受理された後に賃金引上げ、設備投資等を実施しなければなりません。

また、計画書の提出期限や支給申請の時期も厳格に定められていることに注意が必要です。

このように、最低賃金アップに対応するには、助成金の活用と計画的な生産性向上施策がカギとなります。
必要な準備を整え、制度を最大限に活用しましょう。



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<執筆者>

社会保険労務士法人ユアサイド
社会保険労務士 中宮伸二郎先生

2000年社会保険労務士試験合格。
2007年社会保険労務士法人ユアサイド設立。
2007年より派遣元責任者講習講師を担当し、労働者派遣や有料職業紹介などの人材サービスに詳しい。

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