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【2024年4月号】指揮命令者とは?|中宮先生によるお役立ちコラム

2024/04/11 コラム

厚生労働省の調査(令和4年派遣労働者実態調査)で、派遣社員が派遣先に要望することの第2位は、「指揮命令系統を明確にしてほしい(17.8%)」でした。

派遣受け入れの際は、誰が派遣社員に業務指示を行うかを明確にし、指揮命令系統を職場で共有することで、不満なく働ける職場環境を整備することができます。

指揮命令者の選任

指揮命令者になるために特別な資格は必要ありませんが、「業務指示を行う」という役割から、派遣社員が配属される部署から選任します。
具体的には、派遣契約に記載する「組織単位」と同じ部署に所属する派遣先の従業員から選任してください

指揮命令者は正社員以外のパート・アルバイトなどから選任することも可能ですが、業務指示を行う役割を果たすことができる者を選任しないと、結果として指揮命令系統が不明確になる恐れがあることに留意する必要があります。

指揮命令者の役割

指揮命令者とは、派遣先に選任が義務付けられている役割の一つで、派遣社員に対し業務を指示する上司のような存在です。

指揮命令者は、派遣契約の範囲内で業務の指示、指導を行います。派遣契約で定めていない業務に従事させることはできないため、指揮命令者は、派遣契約で定める業務内容を把握しておく必要があります。

労働時間管理も指揮命令者の役割の一つです。派遣社員の残業ができる時間は派遣契約で定められているため、この時間内に収まるように業務を調整しなければなりません。

指揮命令者がやってはならないこと

派遣契約の更新に関することは、派遣社員に直接伝えないでください。派遣先にどの派遣社員を派遣するかを判断するのは派遣元です。
指揮命令者が契約更新を伝えて、引き続きその派遣社員を受け入れることを決定することは、派遣法上問題のある行為になってしまいます。

また、派遣社員の勤務状況を評価してほめることは問題ありませんが、昇給額は派遣社員に直接伝えないでください
派遣料金の引き上げ額と賃金の引上げ額は一致しません。
賃金を引き上げると社会保険料も上昇するため、派遣料金の引き上げ額がそのまま賃金の引き上げ額になるものではないことをご理解くださいますようお願いいたします。

<執筆者>

社会保険労務士法人ユアサイド
社会保険労務士 中宮伸二郎先生

2000年社会保険労務士試験合格。
2007年社会保険労務士法人ユアサイド設立。
2007年より派遣元責任者講習講師を担当し、労働者派遣や有料職業紹介などの人材サービスに詳しい。

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