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熱中症の要因と予防~環境・からだ・行動~(安全ミニ通信259号)

更新日: 安全ミニ通信
「熱中症は炎天下の屋外だけ」と思っていませんか。実は、室内や夜間でも熱中症は起こります。エアコンを我慢したり、湿度が高い環境で作業したり、睡眠不足のまま現場に入ったり——こうした“ちょっとした無理”が、重大な体調不良を引き起こします。
このコラムでは、熱中症がなぜ起こるのか、そしてどのようにすれば防げるのかを、具体的な要因と対策を交えて分かりやすく解説します。現場で働く一人ひとりが「自分ごと」として捉え、今日から実践できる予防策を身につけることで、安全で健康な夏を過ごしましょう。

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  熱中症の要因と事例

熱中症は、暑い環境下で体温調節機能がうまく働かなくなり、体内に熱がこもることで発生します。めまいや吐き気といった症状から始まり、重症化すると意識障害や命の危険に至ることもあります。この熱中症を引き起こす要因は、大きく分けて「環境」「からだ」「行動」の3つがあります

要因1:環境

熱中症は、気温や湿度が高い場所で発生しやすくなります。特に、以下のような環境は注意が必要です。

・高温多湿な場所
 気温が高いだけでなく、湿度が高いと汗が蒸発しにくくなり、体温が下がりにくくなります。風通しの悪い場所や、締め切った室内などもこれに該当します。
・日差しの強い場所
 直射日光を浴びることで、体温が急激に上昇します。気温がそれほど高くなくても、日差しが強い場所での作業は体温が上がりやすく、熱中症のリスクを高めます。

・急激な温度変化

 汗をかくことで体内の水分や塩分が失われますが、適切に補給しないと脱水症状を引き起こします。
・体調不良
 冷房の効いた室内から急に屋外に出るなど、急激な温度変化も体に負担をかけ、熱中症を引き起こす原因となることがあります。

事例:建設現場で日中の屋外作業中に、気温はそれほど高くなかったものの、湿度が高く風がほとんどない状況で、作業員がめまいを訴え、熱中症と診断されたケースがあります。これは、湿度によって汗が蒸発しにくく、体温調節が追いつかなかったことが原因と考えられます。

要因2:からだ(体調)

私たちの体調も熱中症の発生に大きく影響します。特に、以下のような状態は熱中症のリスクを高めます。

・暑さへの不慣れ

 体がまだ暑さに慣れていない時期(梅雨明けや夏のはじめなど)は、体温調節機能が十分に働かず、熱中症になりやすいです。特に、季節の変わり目や、長期休暇明けなどは注意が必要です。
・寝不足や体調不良
 十分な睡眠が取れていない、疲労が蓄積している、風邪気味など、体調が優れない時は、体の抵抗力が低下し、熱中症にかかりやすくなります。体調が悪いと、体の水分や塩分のバランスも崩れやすくなります。

・持病や服薬 

 高血圧や糖尿病などの持病がある方、特定の薬を服用している方は、熱中症のリスクが高まることがあります。ご自身の健康状態を把握し、無理のない範囲で作業を行うことが重要です。

事例:連日の残業で寝不足が続いていた工場勤務のスタッフが、夜勤中に頭痛と吐き気を訴え、熱中症の初期症状と診断されました。夜間であったため油断していたものの、工場内の温度は高く、疲労が蓄積していたことが熱中症の引き金になったと考えられます。

要因3:行動

私たちの行動も熱中症の発生に直結します。特に、以下のような行動は避けるようにしましょう。

・水分補給の遅れ

 のどの渇きを感じた時には、すでに体内の水分が失われ始めています。特に、作業に集中していると水分補給を忘れがちになります。また、感染症予防のためにマスクを着用していると、のどの渇きに気づきにくくなるため、意識的な水分補給がより重要になります。
・休憩不足
 暑い環境下での連続作業は、体に大きな負担をかけます。適切な休憩を取らずに作業を続けると、体温が上昇し続け、熱中症のリスクが高まります。

・無理な作業 

 自分の体力や体調を過信し、無理な作業を続けることも危険です。特に、慣れない作業や重労働を行う際は、より一層の注意が必要です。

事例:物流倉庫での荷物の積み下ろし作業中、休憩をほとんど取らずに作業を続けていたスタッフが、突然意識を失い倒れてしまいました。のどの渇きを感じていたものの、「もう少しで終わるから」と水分補給を後回しにしたことが原因でした。

 

  今日からできる熱中症対策

熱中症は、適切な予防策を講じることで防ぐことができます。ここでは、現場で働く皆様が今日から実践できる具体的な対策をご紹介します。

1. 涼しい環境で過ごす

・エアコンや扇風機の活用

 室内では、昼夜を問わずエアコンや扇風機を適切に利用し、室温を快適に保ちましょう。設定温度を下げすぎず、外気との差を5℃程度に抑えるのが理想的です。
・日差しを避ける工夫
 屋外での作業時は、帽子や日傘、日よけなどを積極的に活用し、直射日光を避けましょう。休憩時は日陰を選び、体を冷やすように心がけてください。

・通気性・吸湿性の良い服装
 汗をかいても蒸れにくい、通気性や吸湿性に優れた素材の服を選びましょう。首元を冷やす冷却グッズなども効果的です。

2. 暑さに慣れ、体調を整える

・暑熱順化

 暑くなり始める時期から、ウォーキングや入浴などで適度に汗をかく習慣をつけ、体を暑さに慣れさせましょう。急に暑くなった日に無理をすると、熱中症のリスクが高まります。
・十分な睡眠
 毎日7時間を目安に十分な睡眠を取り、体の疲れを翌日に持ち越さないようにしましょう。寝不足は体調不良の大きな原因となります。

・バランスの取れた食事 

 夏バテ防止のためにも、栄養バランスの取れた食事を心がけましょう。特に、ビタミンやミネラルを豊富に含む野菜や果物を積極的に摂取してください。

3. こまめな水分補給を行う

・のどが渇く前に補給
 のどが渇いていなくても、定期的に水分を補給することが重要です。1日あたり1.2リットル(500mlペットボトル約2.5本分、コップ約6杯分)を目安に、数回に分けてこまめに摂取しましょう。
・スポーツドリンクや塩飴の活用
 大量に汗をかいた時は、水だけでなく、スポーツドリンクや塩飴などで塩分も補給しましょう。ただし、糖分の摂りすぎには注意が必要です。

・休憩時の水分補給 

 作業の合間の休憩時には、必ず水分補給を行う習慣をつけましょう。休憩場所には、いつでも水分補給ができるように飲み物を常備しておくことが望ましいです。

  まとめ

熱中症は、「環境」「からだ」「行動」の3つの要因が複雑に絡み合って発生する、誰にでも起こりうる危険な病気です。しかし、これらの要因を理解し、日頃から適切な予防策を講じることで、そのリスクを大幅に減らすことができます。
 
現場で働く皆様一人ひとりが、自分の体調に気を配り、周囲の環境に意識を向け、そして「こまめな水分補給」や「適切な休憩」といった安全行動を徹底すること。これが、熱中症から自分自身と仲間を守るための最も重要なカギとなります。
 
「自分には関係ない」ではなく、「自分にも起こりうる」という当事者意識を持って、日々の業務に取り組んでください。そして、安全管理を担う責任者の皆様は、スタッフが安心して働ける環境を整備し、熱中症予防のための啓発活動を積極的に行っていただきたいと思います。


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