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【2023年9月号】2023年 最低賃金引上げの最新情報|中宮先生によるお役立ちコラム

2023/09/07 コラム

令和5年の最低賃金引上げ目安が、中央最低賃金審議会から公表されました。

現行最低賃金への加算額は3つのランクに分けられ、【A:41円】【B:40円】【C:39円】となっています。最低賃金は、都道府県ごとの地方最低賃金審議会で、ランクごとの引き上げ額を基準として、最終決定されます。

例として、大阪府はAランクに区分され、現行の1,023円に41円加算され、1,064円程度となる見込みです。
 

派遣と最低賃金

派遣社員の最低賃金は、派遣先の事業所所在地により決定されます。
例えば、派遣元が大阪で、派遣先が京都の場合、京都の最低賃金が適用されます。

労使協定方式が適用されている場合、職種によって最低賃金の改定に伴う料金改定が必要になることがございます。
労使協定方式では、賃金統計をもとに算出された一般賃金以上の賃金を派遣社員に支払わなければなりません。

現在使用している2023年度の一般賃金は、2年前の2021年度の統計に基づくため、昨年、今年の最低賃金の引き上げが反映されていません。そのため、今年度の最低賃金引き上げにより、一般賃金が最低賃金未満となってしまう職種が一部に生じます。

最低賃金は、絶対に下回ることができないため、最低賃金引き上げと同時に料金改定を行わざるを得ない場合がございます。

賃上げ助成金

最低賃金の急激な引き上げに対しては国の支援が行われています。

業務改善助成金は、事業所の最も低い賃金と最低賃金の差額が30円以内であって、これを30円以上引き上げた場合に支給される助成金です。

単に賃金を引き上げるだけではなく、生産性向上のための設備投資を行う必要があり、助成金の上限は600万円となっています。

また、キャリアアップ助成金(賃金規程等改定コース)を利用して、有期雇用労働者の賃金制度を整備し賃金を3%以上引き上げた場合、賃上げ率に応じて、対象労働者一人当たり3.3万円から6.5万円の助成金が支給されます。

新型コロナウイルスの5類移行から、再び人手不足感が強まり、求人の際の賃金は上昇傾向にあります。

最低賃金の引き上げは、この傾向をさらに加速させるものとなるため、経営にとって、賃金引き上げは、喫緊の課題となっています。


<執筆者>

社会保険労務士法人ユアサイド
社会保険労務士 中宮伸二郎先生

2000年社会保険労務士試験合格。
2007年社会保険労務士法人ユアサイド設立。
2007年より派遣元責任者講習講師を担当し、労働者派遣や有料職業紹介などの人材サービスに詳しい。

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