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【2023年11月号】派遣先の安全衛生上の役割|中宮先生によるお役立ちコラム

2023/11/09 コラム

派遣社員は、派遣元が雇用しているため、原則として雇用に関する責任は派遣元にあります。

しかし、派遣元では管理できない分野については、例外的に派遣先が使用者とみなされ、労働法上の責任を負います

その代表的な分野が、安全衛生です。

安全衛生の全ての責任を派遣先が負うのではなく、派遣元にはできないことを派遣先の責任としています。

安全衛生教育

雇入れ時の安全衛生教育は、派遣元に実施義務があります。

しかし、派遣元で実施できる教育は、汎用性のある一般的な内容となってしまうため、安全装置や保護具の使用方法等の説明は、派遣先に頼らざるを得ないところです。派遣元から雇入れ時安全衛生教育の一部を依頼することがあります。その際は、事故防止のためにご協力ください。

また、業務でクレーンやフォークリフトを使用する場合、特別教育が必要となります。

特別教育は派遣先に実施義務があります。これらの業務に従事させる場合は、特別教育を実施し、その結果を派遣元に通知してください。

健康診断

定期健康診断、深夜業等の特定健康診断は、派遣元が実施します。

有害物質を使用する場合等に実施する特殊健康診断は、派遣先が実施します。派遣社員に特殊健康診断を実施した場合は、その結果を派遣元に通知してください。

ストレスチェック

派遣社員のストレスチェックは、派遣元が実施します。

派遣先は、派遣社員を含めた職場の集団ごとにストレスチェック結果を集計・分析し、職場環境改善に役立てることが望ましいとされています。この場合、派遣先が、派遣社員を含めてストレスチェックを行うことなりますが、高ストレス者への対応など、実施後のフォローは必要ありません。

安全管理者・衛生管理者

安全管理者は、従業員50人以上の製造業など指定された業種で、派遣先に選任が義務付けられています

安全管理者の選任や安全委員会の実施など、派遣先の職場の安全に関し、派遣元は関与できないことから派遣先の責任とされています。

一方、衛生管理者は、派遣元、派遣先双方で選任しなければなりません

派遣社員の衛生管理について、派遣元の衛生管理者は、定期健康診断やストレスチェックのように派遣元でも実施できることを担当します。派遣先の衛生管理者は、職場の衛生環境を担当します。
 

安全衛生環境に関する法令違反が確認された場合は、派遣先が送検されることもございますのでご注意ください。

ご不明な点がございましたら、まずはトーコーへご相談ください。


<執筆者>

社会保険労務士法人ユアサイド
社会保険労務士 中宮伸二郎先生

2000年社会保険労務士試験合格。
2007年社会保険労務士法人ユアサイド設立。
2007年より派遣元責任者講習講師を担当し、労働者派遣や有料職業紹介などの人材サービスに詳しい。

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